コワカエ 第6号 特集:文学の二次創作【第十五回文学フリマ】
2012秋第十五回文学フリマでお目見えです。
丸々一年じっくり時間をかけて作った本誌。今回は絶対移動中さんのサークルで委託配布となります。スペースはア-15「絶対移動中」です。
内容は特集名通り、文学の二次創作の小説5本と、批評4本。各作品これまで以上の完成度を誇っていると思います。元ネタ知らなくても普通に面白い。以下目次。
●小説
- 「「走れメロス」を読んだ「女生徒」」山本握微 @太宰治『走れメロス』『女生徒』・岡田利規
- 「桃太郎」ゆきのはら本尊@太宰治『御伽草紙』
- 「砂の女・別穴」殿内誠美@安部公房『砂の女』
- 「三つの足音」浅岡進@G・K・チェスタトン「ブラウン神父」
- 「姥捨て 尉落ち」山岸廉児@大江健三郎『芽むしり仔撃ち』
●批評
- 「満足願望の老人ホーム」渡辺公暁@「姥捨て 尉落ち」山岸廉児
- 「アカルイ評論」田中堅次@コワカエ6号全小説
- 「クワバラの重い月(出張版)」クワバラ@クワバラの重い月・大江健三郎・コワカエ6号全小説
- 「二次創作をめぐる理論と常識」志方尊志@アントワーヌ・コンパニョン『文学をめぐる理論と常識』
同人誌やるなら一度は考えといた方が良い二次創作。ただ小説を楽しみたい人も、二次創作って結局何なんだろうとちょっと考えて見たい人にも。
配布価格はまさかの0円。100ページ越えで無料です。貰いたい放題で超お得! ぜひともブースまでお越しください。
また、表紙などに使用しているオブジェクトの作成は、橋本康弘さんが無償で公開されているソーシャルコミュニティ遍歴可視化ツール「s.o.c.i.a.r.i.u.m」を使用させていただきました。
http://syrinx.q.t.u-tokyo.ac.jp/hashimoto/
ありがとうございました。
「絶対移動中」の新刊
いつも参加させて貰ってる「絶対移動中」の告知が出ています。
「絶対移動中 vol.12 リアクション、2回目」
http://d.hatena.ne.jp/torico/20121118
デザインすごすぎ。
主催の伊藤鳥子さんにはいつも何かと助けていただいています。
うちとは比べものにならない読者を抱えている見上げるべきサークルなのであります。良い雑誌です。
私は今回は組版でちょこっと参加させていただいておりますが…、まったく恩義に報えておりません…。
こちらもがんばろう。
消化中適当レビュー【「第十四回文学フリマ」】「絶対移動中vol.11 リアクション」
消化中。徐々にレビューを挙げたい。
まずは、一編を書かせて貰った「絶対移動中vol.11 リアクション」。これはぜひ元ネタを読みたくなる企画。次の文フリで手にはいるのか。覚えてられるのか。それが心配。各作品レビュー、簡単にですが。
・有村行人「マンデリン、または孤独のカフェ」
思わず自分のコーヒー遍歴語りを刺戟される、虚実入り乱れる喫茶店巡りの短編。最後のお店(虚)とそれまでのお店(実)の語りに違いが表れるのが興味深い。
・若葉幹人 「理想の個室」
建築詳しい人が自分の理想の個室を設計。書斎を持ちたい男子は幻想に思いを馳せるしかないのか…。
・霜月みつか シナリオ「誰があの子を殺したの」
あー、芝居って、こういう感じよなぁ。人が喋り出す。そうしないと芝居は始まらない。小説に慣れていると斬新。
・志方尊志「議論好きの音楽家達―有村行人「小さな肩を震わせて」のポリフォニー」
うん、すばらしい傑作としか言えない(笑)
・三糸ひかり「認識、解釈、反応、行動」
リアクションの文節・哲学。すべてが格言。
・宵町めめ「丘の上のホテル」
絵の上に文字が載るゲームで言うところの紙芝居型で物語が進む。絵でイメージが作られるのに文字でさらにイメージが作られる不思議な感触を残す。この形でしか表現できない。
・高橋百三「あさやけの彼女」
新たに何も生み出すことはできない、ゆえに、何かを作ることができる。
・秋山真琴「宵闇通事件」
トワイライトシンドローム。怪異ホラーと人間ホラーのあわい。まさかの武座頭市。
・蜜蜂いづる「発光」
情報は、物語が進むに従って開示される。つまり目で追っている文字はすべて留保付きで読まざる終えない、そんな体験。
・伊藤鳥子「はみだした人たちの宴」平日の昼間に花見を開催する大人たち。
文フリの翌日の出社みたいな、現実を見させてくれるぜ。
新刊はないけれど…第十四回文学フリマ用 フリーペーパー
今回はフリーペーパーを作りました。
第十五回文学フリマ目指して制作をすすめている、「コワカエNo.6 特集:文学の二次創作」の予告号です。
何かに取り憑かれたかのように、作り込みました。
文フリ会場で配ります。ぜひ貰ってやってください。
文学の二次創作、桃太郎、と聞いてすぐに太宰を思い浮かべた人は相当のマニア、変態と言ってもよいだろう。太宰人気です。